ハラスメント対策シリーズ:16

3.ハラスメントチェックリストー2
(3)パワーハラスメント対策

① パワーハラスメント該当するかどうかのチェックリスト(個人・組織の認識)

以下のうち、パワーハラスメントに該当するものはどれでしょう?

 チェック内容該当するものに☑️
1指導に熱が入って手が出てしまったが、頭を小突く程度であれば問題ない。
2部下が社会的ルールやマナーを欠いた行動が再三注意しても改善されないので、他の部下にもわかるよう、人前で強く注意をした。
3部下によっては、能力的に負担に感じる可能性があるので、必要な情報や指示も与えないようにしている。
4部下を厳しく指導する場合に、机を叩いたりするのは、直接暴力を奮っているわけではないのでハラスメントには当たらない。
5仕事では気をつけているが、飲み会の席など、ざっくばらんな雰囲気の場での軽い暴言は問題ない。
6期待をしている部下なので、指導をするよりもまずは自力でやりきれるように任せている。
7仕事に関してやる気がなかったり、苦情を言ったりする部下は、チームワークが乱れるので仕事を与えないようにしている。
8仕事以外でも、懇意にしている部下には個人的な頼みごとをしても問題はない。
9能力よりも簡単な仕事を与えたり、業務とはかけ離れた仕事を与えたりするのは負担になるわけではないのでハラスメントに当たらない。
10いい仕事をしてもらうために、部下の家庭環境にも気を使っていろいろ聞くようにしている。

1は程度に関わらず部下は拒絶ができない状態であれば6類型のうちの「身体的な攻撃」となりハラスメントに該当します。2、4、5は「精神的な攻撃」に当たります。2は、強く注意すること自体はハラスメントに当たりませんが、人前で大きな声で叱るような言動はハラスメントに該当します。3、7は、「人間関係からの切り離し」になります。部下の状況を気遣ったとしても、情報などは適切な方法で与えることが必要です。また業務の負荷は、適切なコミュニケーションを部下ととりながら指導も含めて与えることが必要です。6は「過大な要求」となります。熱心に指導をしているつもりでも部下が負担や精神的ストレスを抱える可能性があります。9は「過小な要求」になります。8,10は「個の侵害」となる可能性があります。懇意にしているつもりでも上司と部下の関係では断れないということがあります。

② 職場におけるパワーハラスメント防止の啓蒙施策チェックリスト(職場の防止の取り組み)

職場におけるパワーハラスメントに対する従業員の意識や実態を把握したり、対策について意見を聞くための体制を整えていますか?

☑️チェック内容
社内における実態調査のためのアンケートを実施している。
職場ごとに話し合いを行い、意見を聞いている。
従業員を集めるなどの機会を設け、意見交換会を実施している。
人事面談などの際に、意見を聞いている。
社内に専用電話や、メールなど専用の相談窓口を設置している。
相談に対する担当者を予め決めている。
外部の機関に委託している。

職場におけるパワーハラスメントとはどのようなことかを従業員に理解させるために、次のようなことを行っていますか?

☑️チェック内容
従業員の意識調査を行い、上司から部下だけでなく、同僚同士や、部下から上司の場合もハラスメントの対象となることを理解させている。
チェックリストを作成し、パワーハラスメントについての認識度を自己点検させている。
職場ごとの会議や、階層別の研修(特に管理者研修)などで、パワーハラスメントに関する事項について注意喚起を行っている。
従業員の意識啓発のための小冊子を作成し配賦している。

職場におけるパワーハラスメント防止に対する啓蒙活動を行っていますか?

☑️チェック内容
就業規則や社内倫理規定、社員行動基準などにパワーハラスメントの内容やその禁止について規定し、全従業員に配布している。
職場におけるパワーハラスメントの内容や通報の仕組みなど盛り込んだパンフレットやポスターを作成し職場に掲示している。
経営トップがパワーハラスメントを生まない組織風土づくりを宣言し、社内のイントラネット掲示板に載せるなど、様々な方法で全従業員に発信している。
パワーハラスメントに係る性的な言動を行った者に対する懲戒規定をさだめ、これを全従業員に周知している。

③ ハラスメント懸念および事後の適切な対応を理解しているかのチェックリスト(対策の理解)

パワーハラスメントが懸念される場合、及びハラスメントが生じた事実が確認できた場合において、以下の行動を取っていますか?

☑️チェック内容
事実関係を迅速かつ正確に確認するための手順が明確化されている。
事実確認をする際に、当事者双方に主張を公平にきくことにしている。
当事者双方の間で事実関係が一致しない場合、当事者に了解を得た上で、必要に応じて第三者からの話も聴取している。
会社が講じる措置を当事者に説明することにしている。
就業規則に基づき、行為者に対して一定の制裁を課すこととしている。
当事者間の関係改善について援助を行うこととしている。
被害者と行為者を引き離すための人事上の配慮や、労働条件などに不利益が生じている場合はそれを回復することとしている。
パワハラ防止法にもとづく調停などの第三者機関の紛争解決案に従った措置を講じることとしている。
管理監督者や産業保健スタッフ、専門家などによる被害者のメンタルヘルス不調への相談対応を行うこととしている。

事後の適切な対応を理解していますか?

☑️チェック内容
パワーハラスメントに関する相談が寄せられた時点で、これまでの対策防止に問題がなかったかの再点検をする事にしている。
「パワーハラスメントを許さない」という会社の方針および行為者には厳正に対処する旨の方針を、社内報やパンフレット、社内イントラネットなどにより再認識させている。
パワーハラスメントに関する意識を啓発するための研修・講習を改めて実施している。
社内で相談しづらい雰囲気がないか、相談・苦情への対応状況を再検討している。
ハラスメントが生じた原因を分析し、防止対策を再検討している。
相談者・行為者等のプライバシー保護や名誉尊重のために必要な事項をマニュアルに定め、知りえた事実の秘密を厳守するよう徹底している。
相談者・行為者、事実確認に協力したことを理由に解雇等の不利益取り扱いがされない旨を従業員にも周知・啓発している。

(JDIOダイバーシティ・シニアコンサルタント 高本奈緒美)