イノベーションをダイバーシティでチェック

ここ4~5年、ギグエコノミーやギグワーカーという言葉を聞く。ギグエコノミー(gig economy)は、インターネットを通じて単発の仕事を受注する働き方や経済形態を指し、ギグワーカー(gig worker)はそのような働き方をする人を言う。雇用されずに単発の仕事を請け負う働き方が「新しい・自由度が高いワークスタイル」として前に出てきた。

2025年にはギグ市場の規模が世界で37兆円になるとの試算がある(会計事務所プライスウォーターハウスクーパース(PwC))。最大の労働供給国は市場全体の27%を占めるインドで、バングラデシュや南アジア諸国がこれに続く。多くはIT系のソフトウエア開発や情報サイト作成などのメディア系で、発注国はアメリカ、イギリス、カナダなどの先進国(英オックスフォード大学のインターネット研究所調査)。日本でも、飲食店の宅配業務を受注するギグワーカーを目にするようになった。空いた時間、好きな時に働けるという触れ込みだ。

ギグ市場の登場で労働力の調達ルートが多様に開ける半面、専門家は賃金への影響に注目する。グローバルな規模で安い労働供給が増えるからだ。労働者の安全や権利保護に係る雇用コストが無い分、企業は収益にプラスと計算しこれを活用する。(FY)